人の死は自然の摂理で、いつかはだれにでも訪れます。
現代は超高齢化社会で、毎年多くの人が終末期を迎えて亡くなっています。
人生の締めくくりを支える「終末期ケア専門士」が注目を集めています。
終末期ケア専門士ってどんな資格なの?
どうやったら資格をとれるの?
この記事では、このような疑問にお答えして、終末期ケア専門士の資格を紹介します。
筆者の簡単な自己紹介です。

マッキーです。
介護士として10年以上働いています。
現場での経験を経て、ケアマネの資格を取得しました。
現在も特養の介護職員で、施設ケアマネとして働いています。
主にケアマネ試験をテーマにして、ブログで介護職員向けた情報等を発信しています。
終末期ケア専門士とは?
終末期ケア専門士は、日本終末期ケア協会(JTCA)による民間資格です。
日本終末期ケア協会(JTCA)公式サイトはこちら。
2020年に出来たばかりの資格なので、まだ歴史は浅いと言えます。
高齢化社会に伴う「多死社会」を担う人材育成に大きく期待されています。
終末期ケア専門士はターミナルケアに特化した資格です。
終末期とは?
病気や老衰などで、死が間近に迫った時期のことです。
どのような最期を迎えたいのか?
本人や家族の意向をくみ取り、その方の人生の最期を看取るためのケアします。
死に対するニーズも多様化しており、専門知識を持って臨むことが課題です。
エビデンスに基づいたケアの実践を目指す
エビデンスとは「証拠・根拠」のことです。
エビデンスに基づいたケアとは?
終末期においては、以下のことがケアを実施する「エビデンス」となります。
- 医学的な見地に基づいたケア
- 死に対する意向を踏まえたケア
「終末期ケア専門士」が目指す人材
- 個人の意向にあったケアを行える人材
- 科学的な根拠に基づきケアを行える人材
- 高い倫理観を持っている人材
終末期ケア専門士は、こんな人におすすめの資格
終末期ケア専門士はこんな方へおすすめです。
- 高齢者施設で働く職員
- 病院などの医療従事者
- 自分の両親を家で看取ってあげたい方
利用者さんがターミナルケアを迎えたとき「終末期ケア専門士」の知識を実践して活かせます。
日本終末期ケア協会(JTCA)
終末期ケア専門士を育成する「日本終末期ケア協会(JTCA)」とはどんな組織なのか?
「人をつなぐことで社会を変えていく」という理念の元、医療職だけじゃなくて、色んな人材が終末期をサポートする社会の構築を目指しています。
職種や地域の垣根を越えて、多職種の視点を持った人が協働することがモットーです。
終末期ケアについての知識、技術だけじゃなくて、医療介護の分野以外の学問も学び、多死社会のキーパーソンの育成に貢献しています。



医療や介護の枠にとらわれず、色んな人が活躍しています。
終末期ケア専門士は、ステップアップ式の資格
終末期ケア専門士はステップアップ式の資格です。
まずは終末期ケア専門士を取得します。
その後は、より上位の資格の取得を目指せる仕組みとなっています。
資格を取得して1年後に次の資格へ挑戦することができるようになっています。
終末期ケア専門士
⇩(ステップアップ)
終末期ケア上級専門士
⇩(ステップアップ)
JTCAアドバンスインストラクター
終末期ケア上級専門士
終末期ケア専門士の一つ上の上級資格です。
終末期では様々な職種(医師、介護士、看護師、栄養士、リハビリ)などが一つのチームとして協働します。
より深い知識を学ぶとともに「チームマネジメント」で力を発揮できるよう学びます。
終末期ケア上級専門士では、チームをマネジメントすることが期待されています。
- チームの管理
- 後輩の教育
- 組織と人を育む人材
- マネジメント能力の向上
JTCAアドバンスインストラクター
終末期ケア上級専門士の上級資格となります。
終末期ケア専門士の中でもトップの資格になります。
JTCAアドバンスインストラクターは、地域に根差した専門アドバイザーを目指します。
- 医療介護にとどまらず幅広い分野で活躍。
- 地域や職域の枠を超えて、終末期ケアを伝える人材を育成。
- 多職種による勉強会や研修の企画、運営。
- 日本終末期ケア協会の「コアメンバー」として活躍。
終末期ケア専門士の将来性
終末期ケア専門士の将来性は高いです。
日本はすでに高齢化社会ですが、今後も高齢化が進んでいきます。
年間の死者数は毎年増加しています。
高齢者の死亡者数(厚生労働省の見通し)
- 2004年:約80万人
- 2015年:約120万人
- 2025年:約140万人
- 2040年:約166万人
終末期ケア専門士は資格としての歴史が浅く、今は世間での認知度は低いですが、これからの社会には重要な役割を担います。
対社会を担う人材として、社会的なニーズが高まっていく。
歴史は浅いが成長性を秘めている。
終末期ケア専門士の資格の取り方
終末期ケア専門士の「受験資格」や「試験方法」について解説していきます。
終末期ケア専門士の受験資格
終末期ケア専門士はケアマネ試験などの受験資格と同じように、
医療、介護などの「国家資格」と「実務経験」が条件となっています。
国家資格+2年以上の実務経験
経験年数は資格取得から申請書提出日までを計算します。
2年以上の実務経験が必要な国家資格
- 医師
- 歯科医師
- 看護師
- 保健師
- 薬剤師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 臨床工学技士
- 歯科衛生士
- 管理栄養士
- 介護支援専門員
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 公認心理士
- 救急救命士
- 放射線技師
- 介護福祉士(介護士として実務経験が合算して3年以上。)
3年以上の実務経験が必要な国家資格
- 栄養士
- 准看護師
- 臨床心理士
- 音楽療法士
- 介護福祉士(実務者研修終了証のコピー提出が必要。)
終末期ケア専門士の試験のスケジュール
試験は年に1回行われます。
申込期間 | 2022年4月1日(金)~受付開始 |
試験実施日 | 2022年10月11日(火)~2022年10月31日(月) |
合否の結果発表 | 12月 |
JTCA公式サイトの試験申し込みページはこちらです。
終末期ケア専門士の試験の概要
- 出題範囲:終末期ケア専門士公式テキスト
- 問題数:90問
- 出題形式:択一問題、択多問題
- 試験時間:90分
公式テキストの目次は以下の通りです。
コロナ対策のため、IBT方式(パソコン試験)が採用されてます。
IBT方式とは?
予定した会場へ行き、パソコンで試験を行います。
試験会場は全国260か所にテストセンターがあります。
パソコン試験はキーボード入力は少なく、選択肢のボタンをマウスでクリックする試験です。
パソコンが苦手な方でもマウスでクリックが出来れば簡単に受けられます!
終末期ケア専門士試験の出題範囲
終末期ケア専門士公式テキストから出題されます。
公式テキストの目次
- 概論
- 終末期におけるチームケア
- 日常生活を支えるケア
- 身体症状とそのケア
- 意思決定支援
- 家族ケア
- スピリチュアルケア
- グリーフケア
- 看取り期のケア
- 終末期を取り巻く社会資源
- 疾患別終末期ケア
終末期ケア専門士の合格状況
試験 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
第1回(2020年)試験 | 2,310人 | 1,516人 | 65.6% |
第2回(2021年)試験 | 3,775人 | 2,623人 | 69.5% |
終末期ケア専門士の試験はまだ2回しか行われていません。
まだまだこれから合格率に変動があるかもしれませんが、65%以上となっていますね。
しっかり勉強すれば合格できる内容の難易度だと言えそうです。



終末期ケア専門士の合格者は、
2022年の現段階で、全国で4,139人しかいません。
レアな資格ですね。
終末期ケア専門士にかかる費用
受験料やテキスト代などで、これらの費用がかかります。
また、終末期ケア専門士は更新制の資格なので、更新に必要な費用も含めています。
- 受験料:10,000円
- テキスト代:4,500円
- 登録料:10,000円
- 3年ごとに更新:5,000円
- ココリンク月額会費:500円
終末期ケア専門士は3年ごとの更新制です。
更新をするには、3年の間で所定の単位を取得する必要があります。
その際に日本終末期ケア専門士協会の「ココリンク」という動画配信システムへ登録します。
用意された動画を視聴したり、イベントへ参加することで単位が取得できる仕組みとなっています。
全体のまとめ
終末期ケア専門士ってどんな資格なの?
どうやったら資格をとれるの?
この記事では、これらの疑問にお答えして「終末期ケア専門士」について解説しました。
終末期ケア専門士とは?
ターミナルケアに特化した資格
ステップアップ式の資格
多死社会を担う人材として高いニーズがある
歴史は浅いが成長性を秘めている
終末期ケア専門士の資格の取り方
受験資格:医療介護の国家資格+2年以上の実務経験
公式テキストで勉強して、パソコンでの検定試験を受ける
2020年試験の合格率は65.6%
受験料+登録料で20,000円
3年ごとの更新がある
これからの日本が迎える「多死社会」で、終末期ケア専門士の活躍の場が広がってくと思う方、
この資格に興味を持った方、ぜひ基本テキストを手に取って資格取得を目指してみませんか。

