ケアマネ試験の範囲で「支給限度基準額」が難しいと感じる方は多いと思います。
「支給限度基準額」「区分支給限度基準額」「種類支給限度基準額」こういった色んな単語が出てくるので、何が何だか分からず頭が混乱してしまいますよね。
この記事では、ケアマネ試験の対策として「支給限度基準額」の考え方について解説していきます。
この記事はこんな方へおすすめ
基準支給限度基準額について知りたい方
支給限度基準額、区分支給限度額、種類限度基準額などの用語で混乱している方
ケアマネ試験の勉強をしている方
筆者の簡単な自己紹介です。

マッキーです。
介護士として10年以上働いています。
現場での経験を経て、ケアマネの資格を取得しました。
現在も特養の介護職員で、施設ケアマネとして働いています。
主にケアマネ試験をテーマにして、ブログで介護職員向けた情報等を発信しています。
支給限度基準額とは?
まずはじめに、支給限度基準額とは何か?
かみ砕いて説明すると、介護保険で利用者さんが受けられるサービスの上限のことです。
介護保険のサービスは通常では、金額の9割が保険での負担になります。
しかし、際限なくサービスを受けてしまうと、保険で負担できなくなる部分が出てきます。
「支給限度基準額」を超えてしまったサービスは、全て自己負担となるので注意が必要です。



介護保険には上限があって、
それが「支給限度基準額」だね。
4つの支給限度基準額
支給限度基準額は4種類あります。
- 区分(支給限度基準額)
- 福祉用具購入費(支給限度基準額)
- 住宅改修費(支給限度基準額)
- 種類(支給限度基準額)
上記の4つ全てを合わせて「支給限度基準額」と言います。
区分、種類とか頭に色々ついたりしますが、全てひっくるめて「支給限度基準額」です。


それでは、ひとつずつ解説をしていきます。
区分支給限度基準額
「区分支給限度基準額」は要介護ごとに定められた上限のことです。
単位というものを使って、全国で統一された基準となっています。
要介護度 | 1か月あたりの単位 |
---|---|
要支援1 | 5,032 |
要支援2 | 10,531 |
要介護1 | 16,765 |
要介護2 | 19,705 |
要介護3 | 27,048 |
要介護4 | 30,938 |
要介護5 | 36,217 |
1単位は大体10円です。
介護保険では、区分支給限度基準額の範囲で、サービスを組み替えて利用していきます。


例えば、要介護1の利用者さんの1か月の単位は16,735単位です。
訪問介護で毎月5,000単位分、通所介護で毎月4,000単位分、短期入所生活介護で4,000単位。
このような具合に、範囲の中でサービスを組み合わせて利用します。
区分支給限度基準額の適用されるサービス(18種)
下記のサービスが区分支給限度基準額の範囲で利用されます。
居宅サービス | ①訪問介護 ②訪問入浴介護 ③訪問看護 ④訪問リハビリテーション ⑤通所介護 ⑥通所リハビリテーション ⑦短期入所生活介護 ⑧短期入所療養介護 ⑨特定施設入居者生活介護 ⑩福祉用具貸与 |
地域密着型サービス | ⑪認知症対応型通所介護 ⑫小規模多機能型居宅介護 ⑬認知症対応型共同生活介護 ⑭地域密着型特定施設入居者生活介護 ⑮看護小規模多機能型居宅介護 ⑯定期巡回・随時対応型訪問介護看護 ⑰夜間対応型訪問介護 ⑱地域密着型通所介護 |
これらの各サービスには「代替性」があります。(別のサービスの役割を兼務できる。)
例えば、お風呂に入りたい方には「訪問入浴」がいいですよね。
しかし、お風呂は「訪問介護」や「通所介護」などのサービスで入ることが出来ます。
不足を他のサービスで補いながら、サービスを組み合わせて利用していくことが想定されています。
区分支給限度基準額が適用されないサービス8種
中には、区分支給限度基準額が適用されないサービスがあります。
下記の8種類のサービスが該当します。
これらのサービスは、他のサービスとは代替性が低いです。(替えが効かないサービス)
他で替えが効かないので、必要なところで誰もが利用できるように、支給限度基準額からは外れています。



適用外のサービスは、
試験によく出題されます。
福祉用具購入費支給限度基準額
排せつや入浴関係の福祉用具は介護保険で購入できます。
特定福祉用具販売の上限は年間で10万円です。
この10万円が福祉用具購入費支給限度基準額です。
厚生労働省の定める期間として「年間=4月1日~3月31日」が一括りです。
毎年、4月になれば上限がリセットされます。
福祉用具サービスに関しては、こちらの記事も参考にどうぞ。
住宅改修費支給限度基準額
住宅改修の上限は所在地のある住宅で20万円です。
住宅改修は個人単位で、原則として1度きりしか支給されません。
例外として、住宅改修を一度行っている場合でも以下のケースでリセットされます。
- 介護の必要度が3段階増加。
- 転居する。
住宅改修の詳しい解説はこちらの記事をどうぞ。
種類支給限度基準額
地域のサービスに限りがある場合など、市町村が条例で支給限度基準額の範囲内で「種類支給限度基準額」を定めます。


例えば、訪問入浴をやっている事業所が少ない市町村があったとします。
この場合、少ない事業所をたくさんの人が取り合う状態になってしまいます。
1人の人が訪問入浴を限度額いっぱいまで利用したら、他の人が訪問入浴を利用できなくなるかもしれませんよね。
利用者さんが公平にサービスを利用できるように「種類支給限度基準額」を定めて調整を行います。
支給限度基準額の上乗せ
以下のサービスでは、市町村の条例で支給限度基準額を上乗せすることが出来ます。
- 区分支給限度基準額
- 特定福祉用具購入費支給限度基準額
- 住宅改修費支給限度基準額
支給限度基準額を増やすことで、よりたくさんのサービスを利用することが出来ます。
財源は第1号被保険者の保険料です。



種類支給限度基準額とは逆なんだね。
市町村は条例によって、支給限度基準額を増やすことも減すことも出来るんだね。
全体のまとめ
この記事では「支給限度基準額」の考え方について解説しました。
ケアマネ試験の学習では、支給限度基準額の部分は混乱してしまいやすい個所です。
この記事が参考になればと思います。
支給限度基準額とは?
まず、「支給限度基準額」は利用できるサービスの上限を表している。
支給限度基準額には以下の4つがある。
- 区分支給限度基準額
- 福祉用具購入費支給限度基準額
- 住宅改修費支給限度基準額
- 種類支給限度基準額
区分支給限度基準額とは?
要介護ごとに毎月の単位が設定されています。
代替性のある18種類のサービスを区分支給限度基準額の範囲で組み合わせて利用します。
代替性が低くて区分支給限度額が適用されないサービスが8種類ある。
- 居宅療養管理指導
- ケアマネジメント系サービス
- 施設などの入所・入居系のサービス
福祉用具購入費支給限度基準額とは?
福祉用具の購入は年間10万円まで。
4月1日から3月31日が周期で、4月にリセット。
住宅改修のポイント
住宅改修は原則として1人20万円まで。
転居や介護の必要度が上がった場合はリセット。
種類支給限度基準額とは?
地域のサービスに限りがある場合などに、市町村が条例で定める。
色んな人にサービスが行き届くように支給限度基準額の範囲内で調整。
支給限度基準額の上乗せ
支給限度基準額は市町村の条例で上乗せが出来る。
第1号被保険者の保険料が財源となる。
以上でまとめとさせてもらいます。