この記事では、ケアマネ試験の対策として「訪問看護」のポイントをまとめていきます。
訪問看護の問題は保健医療福祉サービス分野から毎年出題されています。
貴重な1点を逃さないように、ポイントをおさえていきましょう。
この記事は、こんな方へおすすめ。
- 訪問看護について詳しく知りたい方
- ケアマネ試験の勉強をしている方
筆者の簡単な自己紹介です。

マッキーです。
介護士として10年以上働いています。
現場での経験を経て、ケアマネの資格を取得しました。
現在も特養の介護職員で、施設ケアマネとして働いています。
主にケアマネ試験をテーマにして、ブログで介護職員向けた情報等を発信しています。
訪問看護とは?



訪問看護ってどんなサービス?
看護師等が自宅を訪問して、その方の病気や障害に応じた看護を行うサービスです。
訪問看護のサービスは、病状が安定しており医師が必要と認めれば利用できます。
自宅で最期を迎えたいという希望に沿って、ターミナルケアも行います。
ケアマネ試験では医療保険サービス分野で訪問看護の問題が毎年出題されています。
医療サービスのニーズが高まってきている昨今、学習の重要度は高いです。
サービスを提供する事業所
訪問看護のサービスを提供する事業所は2種類あります。
- 病院・診療所
- 訪問看護ステーション
病院・診療所
病院や診療所の中に訪問看護の部門を設けてサービスを提供しています。
管理者は医師です。
医師の指示を元にして、病院や診療所の看護職員やリハビリ職が訪問看護を行います。
病院や診療所の中には訪問看護が行えるだけの人員や設備が整っています。
したがって「みなし指定」となります。
みなし指定


みなし指定とは?
病院や診療所は元から健康保険法の指定を受けています。
改めて介護保険の指定を申請する必要がありません。
なので、必要な設備や体制が整っていると「みなし」されて、サービスを提供することが許可されます。
みなし指定のサービスは訪問看護の他にもある
以下の表を見てわかる通り、医療機関との関連が深いサービスが「みなし指定」となるケースが多いです。
事業者 | みなし指定のサービス |
---|---|
保険医療機関 (病院・診療所) | 居宅療養管理指導 訪問看護 訪問リハビリテーション 通所リハビリテーション 短期入所療養介護 |
保険薬局 | 居宅療養管理指導 |
介護老人保健施設 | 短期入所療養介護 通所リハビリテーション |
どの事業所がみなし指定なのかという問題が出ることもあります。



みなし指定はよく出てくるので、覚えておきたいですね。
訪問看護ステーション
開設者は法人であることが条件です。
医療法人、社会福祉法人、NPO法人、株式会社(営利法人)でも介護保険法の指定を受けて開設できます。
管理者は看護師等(保健師、看護師)です。
看護師等=”等”とつく場合は(保健師、看護師)のことを指しています。
訪問看護ステーションの人員は、試験はよく出題されます。
訪問看護ステーションの人員
- 管理者:看護師等
- 看護職員:常勤換算2.5人以上(看護師、保健師、准看護師、助産師)
- リハビリ職:適当数(理学療法士PT、作業療法士OT、言語聴覚士ST)
開設者と看護職員の常勤換算の人数を覚えておきましょう。
訪問看護の業務内容
訪問看護の業務内容は以下の通りです。
- 病状の観察
- 情報収集
- 療養指導
- 療養上の世話
- 診療補助
- リハビリ
- 精神的支援
- 家族への支援
- 看取り支援
リハビリに関する注意点
訪問看護ステーションが行うリハビリは「訪問看護」と算定されます。
それ以外の病院や診療所、老健が行うリハビリは「訪問リハビリテーション」として算定されます。
提供する事業所により、サービスの種類が変わるので注意です。
訪問看護ステーションの行うリハビリ | 訪問看護 |
病院・診療所の行うリハビリ | 訪問リハビリテーション |
(この違いが第18回試験で出題されてます。)
医師との連携について
訪問看護は医師の監修の元行われるサービスです。
サービスの開始には、主治医の「訪問看護指示書」が必要になります。
医師との連携を行うにおいて、このような書類が必要です。
- 訪問看護指示書(主治医が作成。訪問看護事業所が受け取る)
- 訪問看護計画書(看護師等が作成。主治医へ提出)
- 訪問看護報告書(看護師等が作成。主治医へ提出)


①訪問看護指示書→②訪問看護計画書→③サービス実施→④訪問看護報告書→①へ戻るサイクル
訪問看護指示書
通常の訪問看護で使用される指示書です。
主治医が作成します。
訪問看護を利用する際には必ず必要になります。
- 有効期限は6か月。
- 書類の保管期間は2年。
介護保険と医療保険の違いについて
訪問看護では「介護保険」か「医療保険」のどちらかでサービスが提供されます。
ややっこしいですが、基本的には介護保険が優先されます。
介護保険と医療保険の大まかな違いです。
介護保険 | 医療保険 | |
---|---|---|
指定 | 都道府県知事 | 厚生労働大臣 |
対象 | 要介護、要支援 | 全国民 |
負担 | 原則1割 | 原則3割 |
利用回数 | ケアプランによる | 原則週3回 難病の場合4回 |
訪問看護で医療保険が適用となるケース
訪問看護は基本的には介護保険が適用されますが、例外的に医療保険が適用されるケースがあります。
以下の場合に医療保険が適用となります。
- 主治医から特別訪問看護指示書が交付された場合
- 精神科訪問看護指示書が交付された場合
- 厚生労働大臣が定める20疾病の場合
主治医から特別訪問看護指示書が交付された場合
特別訪問看護指示書は、下記の特別な訪問看護が必要な場合に交付されます。
- 急性増悪時
- ターミナル期
- 退院直後などの一時的に手厚い訪問看護が必要な場合
有効期間は14日以内。
訪問看護指示書が交付されていること。
原則月に1回のみ交付可能。
第23回試験で、特別訪問看護指示書について設問がありました。有効期限に注意です。
精神科訪問看護指示書が交付された場合
精神科訪問看護指示書は、精神疾患を対象とした指示書です。
こちらも医療保険が適用されます。
ですが、認知症の場合は介護保険が適用となるので注意です。
厚生労働大臣が定める20疾病の場合
厚生労働大臣が定める疾患がある場合、医療保険が適用されます。
- 末期の悪性腫瘍
- 多発性硬化症
- 重症筋無力症
- スモン
- 筋萎縮性側索硬化症
- 脊髄小脳変性症
- ハンチントン病
- 進行性筋ジストロフィー症
- パーキンソン関連疾患
- 多系統萎縮症
- プリオン病
- 亜急性硬化症全脳炎
- ライソーゾーム病
- 副腎白質ジストロフィー
- 脊髄性筋萎縮症
- 球脊髄性筋萎縮症
- 慢性炎性症脱髄性多発神経炎
- 脳天性免疫不全症候群
- 頸髄損傷
- 人工呼吸器を使用している状態
第2号被保険者の16疾病とも重なっている疾病があります。
- 末期がん(悪性腫瘍)
- ALS
- 脊髄小脳変性症
- 多系統萎縮症
- パーキンソン病
(第15回の試験で、悪性腫瘍が該当するかの設問がありました。)
訪問看護の介護報酬
訪問看護ステーションのサービスか病院・診療所からサービスかで若干の違いがあります。
訪問看護ステーションの方が少し高く設定されています。
訪問看護ステーション | 病院・診療所 | |
---|---|---|
20分未満 | 312(313)単位 | 264(265)単位 |
30分未満 | 469(470)単位 | 397(398)単位 |
30分~1時間 | 819(821)単位 | 571(573)単位 |
1時間~1時間半 | 1,122(1,125)単位 | 839(842)単位 |
リハビリ職員 PT、OT、ST | 301(283)単位 | – |
新型コロナウイルス対応の臨時特例として、2021年4月~9月は報酬が0.1%引き上げされています。
リハビリ職の訪問看護による報酬は反対に引き下げれています。
()カッコはコロナ特例の引き上げ後の数字。
病院・診療所のリハビリは訪問看護として算定されず、訪問リハビリテーションとして算定されるので、空白となってます。
加算と減算
訪問看護で算定される加算をまとめます。
特別管理加算(Ⅰ)(Ⅱ)
真皮を越える褥瘡、カテーテル、在宅酸素、透析、点滴などがある場合に算定されます。
- (Ⅰ)悪性腫瘍、気管切開などを対象。
- (Ⅱ)腹膜透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、真皮を越える褥瘡のある利用者などが対象。
- (Ⅰ)(Ⅱ)の併用はできない。
第15回の過去問の設問に特別管理加算が出題されています。
真皮を越える褥瘡など、どんな状態で算定されるのか注意。
ターミナルケア加算
死亡日および死亡前14日以内で2日以上、ターミナルケアを行った場合に加算されます。
条件として24時間体制を確保しなくてはいけません。
よく試験で出題される加算です。
ターミナルケアは近年重要度が高まってきているので、今後も問題が出るかもしれません。
長時間訪問看護加算
特別管理加算の対象となる利用者に90分以上の訪問看護サービスを提供したら算定されます。
介護予防訪問介護では算定できません。
複数名訪問加算(Ⅰ)(Ⅱ)
利用者の身体的理由、暴力行為などの理由で複数の職員でサービスを提供したら算定されます。
2人目の職員は看護師でなくても大丈夫です。
第14回の試験で出題されています。
退院時共同指導加算
病院、診療所、介護老人法顕施設または介護医療院に入院中の人が退院するにあたって、入院先の医師やスタッフとの訪問看護師(准看護師除く)が共同して在宅生活における指導を行った際に算定されます。
- 利用者への指導は口頭ではなく文章で行う。
- 原則一回しか算定出来ない。特別な管理が必要な場合は2回まで算定できる
- 初回加算と一緒に算定はできない
第17回の試験で出題されています。
緊急時訪問看護加算
24時間連絡できる体制を確保する。計画にない緊急時の訪問を必要時に行うことが出来る体制の場合に算定されます。
1人の利用者さんに対して1か所の事業所でしか算定できません。
試験でよく出てくる加算です。
第22回試験、第17回試験で出題されています。
看護・介護職員連携強化加算
訪問介護事業所と連携して、訪問介護の職員が痰の吸引などを行った場合に算定されます。
訪問看護の職員と訪問介護の職員が協力することを評価した加算です。
第17回試験で出題されています。
看護体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)
緊急時訪問看護加算、特別管理加算、ターミナルケア加算の実績がある事業所に算定されます。
看護職員の占める割合が60%以上で、医療ニーズの高い利用者へ対応する体制を整備して都道府県知事へ届け出をしている等が条件もあります。
質の高い事業所を評価する加算です。
第20回試験で出題されています。
訪問看護の減算
加算とは逆に報酬が減ってしまうパターンです。
- 准看護師がサービスを提供した場合。(100分の90)
- サービスの計画上、准看護師が訪問する予定の場合に、事業所の都合で看護師や保健師が訪問した場合でも、准看護師が訪問した単位で算定します。(100分の90)
- 反対に、看護師や保健師が訪問する予定で、やむなく准看護師が訪問した場合にも減算になります。(100分の90)
- 同一敷地内(同一建物、集合住宅)、隣接する建物、訪問看護事業所から極端に近い場所に住んでいる方にサービスを提供した場合。(100分の90)
特養などの施設の利用者へは訪問看護は出来ません
以下のサービスを利用者へは、訪問看護を算定できません。
- 短期入所療養介護
- 特定施設(有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム)
- 認知症対応共同生活介護(グループホーム)
- 小規模多機能型居宅介護
- 看護小規模多機能型居宅介護
- 定期循環・随時対応型訪問介護看護
入所先の施設に看護師がいるので、看護の体制がすでに確保できているため。
第23回、第20回の試験で出題されています。
全体のまとめ
この記事では、ケアマネ試験の対策として、訪問看護のポイントをまとめました。
ケアマネ試験で覚えておきたいポイントまとめ
- 訪問看護は、病院・診療所と訪問看護ステーションの2種類がある
- 病院・診療所は「みなし指定」
- 訪問看護ステーションで提供するリハビリは訪問看護として算定されるが、病院・診療所で提供するリハビリは訪問リハビリテーションで算定される
- 訪問看護のサービスは主治医の訪問看護指示書を元に提供される
- 訪問看護は介護保険と医療保険の両方があり、原則として介護保険が適用されるが、例外として医療保険が適用されるケースがある
- 加算や減算よく試験に出題される
- 看護師のいる施設などの利用者へは訪問看護は行えない